「朝のひかりを待てるから」(アンジェラ・ジョンソン)

朝のひかりを待てるから (Y.A.Books)

朝のひかりを待てるから (Y.A.Books)

 16歳の誕生日にボビーはガールフレンドのニアの妊娠を知らされます。そしてボビーと娘のフェザーの生活が始まりました。
 子育てをする10代の少年を描いているところがこの作品の新しさです。子育てによって生じる思いには性差はあまり関係ないのでしょう。ボビーはフェザーと過ごして幸福感も得ますが、赤ん坊に全面的に依存されるプレッシャーに耐えられなくて逃げ出したくなったりもします。10代の少年の思いを繊細に描いている面はおもしろいと思います。ただしボビーの場合は環境にも周囲の理解にも恵まれすぎているので、おとぎ話の域を出ていない感はぬぐえません。 母親を強制退去させないと子育てをする男の子という設定に説得力を持たせられないところにも時代の限界を感じます。