「羽根の鎖」(ハンネレ・フオヴィ)

羽根の鎖 (Y.A.Books)

羽根の鎖 (Y.A.Books)

 少女エレイサは空飛ぶタカを捕まえようとしたために、タカに目をつぶされてしまいます。ふたりは鳥の国の裁判にかけられ、罰として羽根の鎖でつながれてしまうことになりました。羽根の鎖を外すためには「鳥足小屋」に住む魔女を頼らなくてはなりません。ふたりは道化の仮面少女やワタリガラスを道連れに、魔女を捜す旅に出ることになります。
 なぞめいた世界や小道具は面白いのですが、物語としてはあまりのめり込むほどのものは感じられませんでした。これだけ象徴がちりばめられている作品なので、相当精読しなければ的確に理解することはできなさそうです。なのでもっと頭のいい人が解読してくれるまでこの作品の評価は保留します。
 フィンランドの作家ハンネレ・フオヴィの初邦訳作品です。本国では非常に評価の高い作家で、この作品でフィンランドで最も権威のあるトペリウス賞を受賞したそうです。そういえばフィンランドの作家といわれてもトーベ・ヤンソンくらいしか思い浮かびません。日本に紹介されている作品の数が少なすぎます。この作品だけでは現代フィンランド児童文学のレベルは判断できないので、ハンネレ・フオヴィの他の作品も含めてもっとたくさんのフィンランドの作品を紹介してもらいたいです。