「新編弓張月 上 伝説の勇者」(三田村信行)

新編弓張月〈上〉伝説の勇者

新編弓張月〈上〉伝説の勇者

 滝沢馬琴の「椿説弓張月」を三田村信行がリライトした本です。
 弓の名人源為朝が主人公。保元の乱崇徳院側についてしまったため、為朝は伊豆大島に流されてしまい、流浪の人生を送ることになります。
 さすが200年生き残った小説だけあって、娯楽性の高さは折り紙付きです。敵も味方もばんばん死んでいく血みどろの展開は息つく間を与えません。為朝は理不尽なまでに強いし、為朝の正室白縫の女傑っぷりもすさまじい。ご都合主義につっこみをいれる暇もなく、一気に読んでしまいました。
 上巻では史実に沿って伊豆大島で勢力をのばした為朝が朝廷に追われるまでが描かれています。下巻は琉球に逃れた為朝の活躍が語られることになります。