「シェーラひめのぼうけん 魔法の杖」(村山早紀)

 「シェーラひめのぼうけん」の第九巻です。前巻で衝撃的な最期を迎えてしまったシェーラが復活するまでの物語です。
 ファリードがよだか化して天に昇ることで自殺を図るのは、不謹慎ながらちょっと面白かったです。
 しかし魔神のライラにそういう役割が与えられるとは予想外でした。村山早紀は近作「コンビニたそがれ堂」のあとがきで、「地上は人間を愛しているのじゃないかなあと思う」と発言しています。ライラは人智を超えた荒ぶる存在であると共に、愛情表現には問題はあるものの、はげしく人間を愛している面も持っています。先の発言に見られるような村山早紀の世界観を体現したキャラクターといえると思います。