「プークが丘の妖精パック」(キプリング)

プークが丘の妖精パック (光文社古典新訳文庫)

プークが丘の妖精パック (光文社古典新訳文庫)

 「ジャングル・ブック」で有名なノーベル賞作家ラドヤード・キプリングのファンタジー作品。幼い兄妹ダンとユーナは丘の上で妖精パックを発見します。ふたりは妖精の召還した歴史上の人物たちから、歴史の真実の物語をきかされることになります。
 光文社古典新訳文庫は初邦訳作品もありなんですか。解説ではこの作品が今まで訳されなかった理由を「この作品がイギリスの子どもたちのために書かれた歴史物語なので、日本の子どもにはなじみのない史実や地名が多く登場する」ためだと説明しています。ですからこの作品を一般向けの文庫として刊行したのは妥当な判断といえましょう。大御所の知られざる名作ではあるけれど、いまさら児童向けとして訳すには難があるというような児童文学作品の受け皿の役割を古典新訳文庫が果たしてくれるなら、このシリーズに対する期待はますますふくらみます。