「青いリボン」(大島真寿美)

青いリボン

青いリボン

 依子の家庭はずっと家庭内別居状態でした。依子が高校生になり父親が福岡に転勤することが決まったのを機に両親は本格的に別居し、依子はなんとなしに母親と一緒に暮らすことになりました。ところがその母親も上海に転勤することになります。学校がかわるのが嫌で母親について行くのを拒んだ依子は、友達の梢の家に居候させてもらうことになりました。
 友達の家に居候というのはドラマチックなことなのですが、登場する少女はあまりドラマチックさを感じさせず、淡々と日々をやり過ごしていきます。それでいて、そういう気持ちわかるわかると読者を頷かせる、読者の共感を呼ぶ感情の機微を描いているのが大島真寿美らしいところです。味わい深い小品でした。
 青、白、黒の三色のみで構成された表紙もおしゃれっぽくていい感じです。