- 作者: 山口雅也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 単行本
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児童文学としてみた場合、この作品は現在の子供が置かれている閉塞した状況を皮肉たっぷりに描いているところが面白いです。物語の導入、陽太は「吸血鬼になりたい」という内容の作文を書いてしまったため学校に目をつけられ、カウンセラーの診断を受けるように強制されます。陽太の母親はカウンセラーにかかったことが受験の際傷にならないかとあわてふためきます。そこへ颯爽と登場したのは夜之介叔父。カウンセラーを丸め込むあまり当てにならない秘策を授けてくれます。ちょっとかわった行動をする子供をただちに犯罪者予備軍扱いしようとする教育現場のあほらしさをユーモラスにあぶり出しています。
夏休みだというのに子供が自由に行動できるのは塾の夏期講習までというタイムリミットをもうけているのも皮肉がきいています。
ミステリとしてみると、まあ、山口雅也らしいというかなんというか。ある設定があかされてから真相が次々に明らかになる快感がたまりません。