「あさきゆめみし②」(大和和紀/原作 時海結以/文)

 まあどう考えても源氏物語を毒のないように取り繕えるわけがありませんね。出歯亀からはじまり少女誘拐監禁、婦女暴行は数知れず。第二巻にして光源氏は悪行の限りを尽くしています。幾度の弾圧がありながらこんなひどい作品を後世にバトンタッチしてくれた先人たちにはいくら感謝してもしたりません。
 第二巻は紫の上誘拐から、藤壺との密会、車争い、葵の上呪殺まで、序盤の見所がてんこ盛りの楽しい本になっていました。盛り上がるべきところはきっちりと盛り上がっており、時海結以の筆にはますます期待が持たれます。ただ、末摘花のエピソードが削られていたのはちょっともったいなかったです。