- 作者: 白倉由美,鶴田謙二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あざとい設定でありきたりのトラウマを持った登場人物たちが活躍するわかりやすい小説です。ですが、プール、夜の放送室、「泣くこと厳禁」など小道具が利いていて、それなりにいい雰囲気はつくれています。これらの小道具を見ると、現役世代よりもむしろもうちょっと上の世代のノスタルジーに訴える作品としてつくっているようにもとれます。
作品世界に過去の時間と未来の時間を混在させていることが、そうした雰囲気を生み出した要因になっています。物語のラストで波が渚に向けてラジオの電波を送っていた学校の放送室は実は存在しなかったことが明かされます。渚の通っている学校は情報ネットワークが整備されていて放送室を必要としない未来の学校だったのです。この仕掛けは面白かったです。