「天山の巫女ソニン二 海の孔雀」(菅野雪虫)

天山の巫女ソニン 2 海の孔雀

天山の巫女ソニン 2 海の孔雀

 「魔法ではなく人間を描くファンタジー」という帯コピーに釈然としないものを感じます。一般的にファンタジーは人間を描かないものだと思われているわけだ。ではたとえば指輪物語の主人公が弱く小さいホビットである意味をどう考えるのか、このコピーを考えた人間に問いただしてみたいものです。まあこの手の誤解はマイナーなジャンル小説はみんな受けているものですから、いまさら目くじら立てるほどのことではありませんけど。別に人間描いてれば偉いってわけじゃないし。
 「天山の巫女ソニン」第二巻。ソニンが仕えているイウォル王子が隣国の王子クワンに招かれ、彼女も隣国江南に同行することになりました。イウォル王子は尊敬するクワン王子に呼ばれたことを単純に喜び、江南の街を視察します。一方ソニンは障害を持つクワン王子の妹などと親しくなって王宮の中に入り込み、イウォル王子を江南に連れ出したクワン王子の真の目的を知ることになります。
 作品の評価は三部作が完結するまで保留しておきますが、とりあえずソニンがだんだん黒くなっているのはいい感じです。