- 作者: 石井桃子,吉井爽子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2002/06/20
- メディア: 文庫
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当たり前のことですが、この本に登場する人物は今となってはほとんど故人になっています。石井桃子が生まれ育った浦和の風景も全く様変わりしています。作中で触れられている場所で多少なりとも当時の面影を残しているのは調神社くらいのものでしょう。しかしこの本を読めば、明治末期の浦和の風景、まちのざわめき、人々の息づかいまで体感することができます。
石井桃子個人に興味のない人にはこの本を読む動機は持ちにくいかもしれませんが、ひとつの土地の姿が言葉の力で再現される奇跡は見ておく価値が充分にあります。一流の作家の手によって半永久的に保存されることになった浦和というまちは幸せです。