「その角を曲がれば」(濱野京子)

その角を曲がれば

その角を曲がれば

 中学三年生の仲良し3人組のそれぞれの視点から交互に綴られる日常の物語です。
 女子のグループでは誰と誰が一番仲良しかということが大問題で、一見うまくいっている3人組の中でもわだかまりがあります。そこへクラスで浮いている大人びた文学少女が絡んできて、三角関係だか四角関係だかになり、それぞれの思惑が交錯します。特段大きな事件は起こりませんが、些細な人間関係の中になんともいえない緊張感が漂っていて読ませます。女子の友情には所有欲が露骨に隠されていて、その関係性のよりどころは恋愛よりもシビアかもしれません。