ザ ジャパニーズ コミックペーパー (新日本ジュニア文学館)
- 作者: 吉橋通夫,高田雄太
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 1995/02
- メディア: 単行本
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面白いのは主人公の立ち位置です。士族の娘としてプライドを持っている小雪は、ラーネッド博士に「士族も平民も平等」と説かれても反感を持ってしまいます。一方で天皇に対しては、「小雪は天皇のおかげで生きているわけはない。自分の力で働いて暮らしているのだから、天皇の名前など知らなくても、ちっともかまわない。」というスタンスです。
物語のほうも読ませます。序盤から雪絵が怪しい車夫に襲われるスリリングな展開で手に汗を握らせせ、終盤は家族の情を絡めてクライマックスは映像的な手法で泣かせる。あざとさは隠せませんが、読ませるための確かな技術は感じられます。エンタメ性をきちんと確保しつつちょっと問題提起をしてくれる、歴史ものとして優れた作品です。