「箱舟の航海日誌」(ケネス・ウォーカー)

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

 以前百々佑利子訳であかね書房から「ノア船長はこぶね航海記」のタイトルで出ていた作品です。光文社古典新訳文庫の児童書ラインアップはまだまだ傾向が見えてこないだけに先が楽しみです。
 箱舟神話をモチーフにした童話です。箱舟に乗せられた動物たちがゆるくて愛らしいです。地球が丸いことを知らない動物たちが、やがて舟が世界の縁から転げ落ちるのではないかとおびえたりするさまなどになごませてもらいました。イラストもゆるくていい感じです。
 解説によると、無垢な動物たちの中にスカブという生き物に象徴される悪が忍び寄ることがテーマらしいのですが、そのへんはわりあいどうでもいいです。悪は外部からやってくるものだという考え方になじめませんし、肉食を悪の特性とみなすのもどうなのよという気がします。