「ラブ&ランキング!」(花形みつる)

 人間観察が趣味で、ひそかにクラスメイトにランキングをつけている小六の少女月子が主人公。彼女は壊滅的に鈍くてドジなランク外のヒナコちゃんになぜだかなつかれ、仕方なしにペットとして面倒をみるようになります。そんなとき、クラスに傍若無人な「オレ様男」コウキが転校してきます。ヒナコちゃんはコウキが好きになってしまい、なんやかんやで月子も厄介ごとに巻き込まれることになります。
 掃除当番で一見大変そうで実は楽なゴミ捨てをすすんで引き受けるエピソードで、月子が「かしこい小学生」であることを印象づける導入がうまいです。
 言葉遣いがいわゆる今時の乱れた日本語で、クラスメイトをペット扱いするなど思いやりのかけらもない言動が見られるので、まじめな児童文学の人からはあまりよく思われないかもしれません。が、こうしたみもふたもない表現が教室の現実をすくい取っていることは間違いありません。
 ヒナコちゃんのドジやコウキのキレ具合が適度に誇張されているので、主人公がひどい人間観を持っているわりには、物語はシビアな方向に傾きません。物語開始時の月子は人非人ですが、運動会やらを通して人の見方が変容していき、着地点はきわめて穏当なものになります。わたしにいわせれば穏当すぎて物足りなくもあるのですが、この本がみかけによらず良心的な作品であることは確かです。