「白狐魔記 源平の風」(斉藤洋)

源平の風 (白狐魔記 1)

源平の風 (白狐魔記 1)

 「白狐魔記」シリーズ、今頃読み始めました。手元にあるのが1996年の初版なのですが、この本ですでに4巻までのタイトルが公開されています。で、実際4巻が出たのが昨年2006年。1996年から読んでなくて本当によかった。そんなに待てませんって。
 仙人の弟子になって修行をし、人間に化ける力を得たきつね白狐魔丸の物語です。きつねは人間に興味を持ち、戦乱の時代を見つめながらなぜ人間は人間同士で殺し合うのか疑問を深めていきます。
 きまじめながらどこかぬけたところのある白狐魔丸が魅力的です。そんな彼の目を通して人間のおろかしさが冷徹に暴き立てられていきます。いくさをテーマにしているので、血なまぐさい場面を描くことにもためらいがありません。非常にスリリングな作品でした。