「白狐魔記 蒙古の波」(斉藤洋)

蒙古の波 (白狐魔記 2)

蒙古の波 (白狐魔記 2)

 前作から85年後の物語。長い眠りから覚めた白狐魔丸は、仙人のすすめに従って世の中の変わりようを見るために鎌倉に赴きました。そこで武士の集団から暴行を受けていた北条時輔の家来市谷小平太を助け、六波羅探題南方の屋敷に招かれることになります。しかし屋敷は北方の襲撃を受け、市谷小平太は討ち死にしてしまいます。彼は最後に自作の絵を白狐魔丸にたくし、友人の竹崎李長に渡すように頼みました。白狐魔丸は竹崎李長を探し、元寇を間近に控えた九州に向かうことになります。
 白狐魔丸の他にも人間に化身できるけものが登場し、物語が複雑になってきました。そして白狐魔丸が他のけものと超能力合戦を繰り広げる展開になります。前作の源平のエピソードと蒙古をあんなところでつなげてしまったことにも驚かされます。シリーズはこのままスケールの大きな伝奇小説になるのでしょうか。これを10年待たされるのはつらい。つくづく4巻が出てから読み始めてよかったと感じてしまいます。