- 作者: 斉藤洋,高畠純
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2000/05/01
- メディア: 単行本
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この巻では前巻で白狐魔丸と知り合った狐の雅姫が大活躍します。雅姫はなき夫北条時輔の面影を持つ北条仲時に肩入れしていましたが、仲時は足利との戦いに敗れ自害してしまいます。雅姫は戦乱を導いた後醍醐天皇に復讐するため、側室の阿野廉子にとりついきます。
狐が祟るという日本の怪談としてはオーソドックスな展開になりますが、復讐に狂う雅姫と観察者の白狐魔丸を対峙させることで、戦争がもたらす悲しみの切実さが演出されています。
白狐魔丸がライフワークとして探求している人がいくさをする理由も抽象的になり、ますます深められています。今回白狐魔丸が対話した楠木正成が戦う理由は領地のためではありませんでした。帝の命令に逆らえないから、いやいや戦に加わったというのです。「帝には、ふしぎな力がおありになる。わたしは帝の御前に出ると、なにを命じられても、首を横に振れなくなるのだ……。」と涙を流しながら打ち明ける楠木正成を描いてみせるところなど、斉藤洋はただ者ではないと感じさせてくれます。