「白狐魔記 戦国の雲」(斉藤洋)

戦国の雲 (白狐魔記 4)

戦国の雲 (白狐魔記 4)

 白狐魔丸の最大の不幸は友達を選べないことではなかろうか。仙人様が天竺にいったっきり300年も帰らないので、長い時間を生きている知り合いが執念深いお狐さまの雅姫しかいないというのがかわいそうです。
 「白狐魔記」第四巻。白狐魔丸は雅姫に誘われて岐阜まで織田信長を見にいきます。そして信長を仇とつけねらう少年不動丸とかかわりつつ、戦乱の波に巻き込まれていきます。
 一向宗の虐殺、浅井長政の髑髏の杯など、信長の残酷さを象徴するエピソードが多く語られ、シリーズ中でも血なまぐささが際立っています。しかしそんな信長も天下布武の夢半ばで倒れてしまいます。白狐魔丸と雅姫が信長に託された鼓を石に戻すラストが印象的で、人の世のはかなさをしみじみと感じさせてくれます。
 ところでわたしはてっきりこのシリーズが4巻で完結したものだと思いこんで読み始めたのですが、まだ続くんですか。次が出るのはいつになるのやら。天竺に行ったっきりの仙人様の消息が気になります。