- 作者: フランチェスココスタ,森友典子,Francesco Costa,高畠恵美子
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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この本では、子供の心の傷に配慮することが実は子供を追いつめているかもしれないという、興味深い問題提起がなされています。ジャコモの周囲の大人は、彼が両親の別居により「心の傷」を負っていないか過剰に気を遣います。しかし子供もバカではありません。自分がどんな振る舞いをしたら大人が心配するかを知っており、大人を心配させないためにそうした振る舞いをしないように気を遣います。
どんなにきみがうらやましいか、わかるかい。少なくとも、たえずきみに目を光らせている人なんていないものね。それに、「とても元気だ。」とか、「心の傷はなおった。」とか、「すてられたあわれな子どもだなんて感じていない。」などと、いつも示さなきゃならないなんて、きみには考えられないことだろう?
(p13−14)
ぼくたち子どもは、両親にひどいショックをあたえないように、いつもえみをうかべ、すべてを引きさいてしまいたいと思うときでさえ、けっして声を荒げたり(原文ママ)しないようにがんばっている。
(p17)
こうして、子供の心の傷を心配することによって子供の自然な感情の表出が抑圧されるという、困った現象が発生する様子を暴き立てています。