「頭のうちどころが悪かった熊の話」(安東みきえ)

頭のうちどころが悪かった熊の話

頭のうちどころが悪かった熊の話

 タイトル、表紙のセンスがすばらしい。題字もしゃれているので、平積みされなくても背表紙だけで勝負できそうです。
 7編の動物寓話が収められています。頭のうちどころが悪かった熊は愛するレディベアを探し求め、ヘビの子は過去のことしか考えずぬけがらを愛する父親にうんざりし、「生きる意味」にとらわれた牡鹿は意味から逃走しようと試みます。どの話もユーモラスで哲学的。安東みきえ久々の単行本は期待を裏切らない出来でした。