「漱石先生の事件簿 猫の巻」(柳広司)

漱石先生の事件簿―猫の巻 (ミステリーYA!)

漱石先生の事件簿―猫の巻 (ミステリーYA!)

 「理論社ミステリーYA!」第二回配本の一冊。「吾輩は猫である」の猫が語ったエピソードを、書生として先生の家で暮らしている探偵小説好きの少年の視点から見つめ直した連作短編集です。
 漱石のユーモアを完璧に模倣しつつ、戦時下のきな臭さを隠し味に加えて、柳広司は「猫」の世界を見事に料理してくれました。しかしなんといっても特筆すべきなのはラストの圧倒的感動です。これは実際に読んで味わってもらうしかないので、多くを語れないのが残念です。