- 作者: グレッグ・ライティックスミス,Greg Leitich Smith,小田島則子,小田島恒志
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
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この作品の魅力は舞台の学校のユニークさにあります。非常に教育熱心な学校で、生徒も頭がよくいい意味で変人が多い。特に理科教育に力を入れており、生徒が研究発表を行う「サイエンス・フェア」が学校を代表する行事になっています。生徒もこの行事を楽しんでいて、「アヒルのガアガアは同一音の反復か?」「頭が三つあるプラナリアは頭が一つのプラナリアより早く迷路をぬけられるようになるか?」といったテーマで盛り上がります。かと思えば、残酷な動物実験に抗議して過激な運動を行う生徒もいて、学校をかき回してくれます。
理科教育と並んでこの学校の特色となっているのが「生徒法廷」です。その名の通り、学内の事件を生徒が裁く危ないシステムです。学内で「弁護人」や「司法取引」なんていう言葉が当たり前のように飛び交うのが愉快です。
さて、物語の三人の語り手の一人イライアスはこの生徒法廷の被告になってしまいます。その罪状がなかなかふるっています。ペシュティゴ校ではクラシックが植物の生長を促成すると信じられており、学内の「アトリウム・ガーデン」では、植物にバロック音楽を聴かせて育てていました。ところがイライアスは、かけられていたCDを「パフ」に取り替えて植物の生長を阻害するという凶悪な犯罪を行い、器物損壊の疑いで起訴されてしまいます。ここでタイトルの「ガリレオ」が意味を持ってくるわけです。法廷闘争を通して科学的であることの意味が問いかけられており、考えさせられる作品になっていました。