「鬼にて候 1」(横山充男)

鬼にて候 (1) (YA!フロンティア3)

鬼にて候 (1) (YA!フロンティア3)

 岩崎書店の新レーベル「YA!フロンティア」の第一回配本の一冊。悪霊を退治する鬼道師の一族に生まれた少年童門保の初仕事のお話です。
 保の通う小学校に産休代替の若い男性教師木津慎平がやってくるところから物語は動き出します。彼はクラスの児童に毎日何かいいことを書く「いいこと日記」を提出するように指導します。「いいこと日記」は強制ではありませんでしたが、数名の児童が自発的に日記を回収するいいこと委員を名乗り日記の提出を強要するようになりました。ここからクラスの雰囲気が悪化し、クラス委員の静香の椅子に首が切断されたゴキブリの死骸が置かれるなど不気味な事件が起きるようになります。
 学校の日常がゆるやかに浸食される様が昔のジュブナイルSFチックでいい感じです。
 主人公の保くんは、鉄腕アトムのような髪型が面白いです。さすが橋賢亀はいい仕事をします。彼は小学生ながらいっぱしの女の敵で、ショタコンの幽霊を無自覚にもてあそぶ鬼畜な所業もみせてくれました。さて、保くんは鬼道師としてどんな活躍を見せてくれるのか、続きも楽しみです。