「少女海賊ユーリ9 流星の歌」(みおちづる)

少女海賊ユーリ 流星の歌 (フォア文庫)

少女海賊ユーリ 流星の歌 (フォア文庫)

 ついにふたつの時光石を手に入れたボルドは、ノエルをさらってユーリをおびきだそうと画策します。仲間を巻き込むまいとユーリは秘密の船長室を爆破し、ゴアだけを伴ってボルドを追いますが……。
 あくまでひとりで戦おうとするユーリをユーラスティア号のみんなが見捨てるはずがありません。レニーやザーナンを中心に仲間が立ち上がり、ノエルはノエルで自力で脱走を果たし、未来世界のあの人も現れ、物語は気持ちよく盛り上がってきます。
 序盤ではボルドの過去が語られます。恵まれない少年時代を過ごし、自分の頭脳だけを武器にはい上がってきたボルドは、友人もなく孤独な毎日を過ごしていました。そこに優しい言葉をかけてくれたのがユーリだったのです。ボルドは勘違いをしてユーリに恋愛感情を抱きますが、彼女がカイルと仲よくしているのを見て逆上し、悪の道に走ってしまいます。まったくユーリも罪作りです。全ての元凶はユーリであったことがわかってしまいました。
 未来世界のユーリは無邪気な天然キャラで、これはこれで違った魅力がありました。5巻で意気消沈していたユーリが200年前のユーリでなく、ちょっと後のこの子だと考えると、また見方も変わってきます。
 残るはあと1巻。さまざまな問題にどんな決着を見せるのか期待されます。