「魔法少女マリリン 地下迷宮の冒険」(村山早紀)

 「魔法少女マリリン」第三巻。シリーズのテーマであろう「夢」を正面から見つめる内容でした。
 悪の王ドルテスの依頼でマリリンはお姫さまのお守りをすることになります。冒険がしたくてお城を抜け出してきたアリナ姫に偽物の冒険を体験させたマリリンは、不本意ながらアリナの夢を愚弄する立場を引き受けてしまったことになります。しかし実はマリリンのほうにも母親の監視がついていました。彼女の冒険もまたゆりかごの中の出来事でしかなかったのです。なかなかシビアです。
 それはさておき、ラストでの風呂敷の広げ方がさらにひどくなっていてあっけにとられてしまいました。でもそれは問題にはなりません。この作品はパロディ性が強く意識されており、その枠があるからこそ逆にどんなに風呂敷を広げても破綻しない巧妙な仕組みになっています。