「新シェーラひめのぼうけん1 ふたりの王女」(村山早紀)

 「シェーラひめのぼうけん」第二シリーズ第一巻。世代が移り、シェーラとファリードの間に生まれたふたごの王女が主人公になりました。「思いつきを何でも口にしてすきかって行動しちゃう、考えなしでらんぼうであきっぽい女の子」であるルビーひめにはシェーラの血が濃く受け継がれているようです。一方のサファイヤひめは「性格がくらくてじぶんにじしんがなくて、ドジでぬけてて、おまけに器用びんぼう」と、ファリードの欠点ばかり似てしまいました。このふたりは近しいがゆえにお互いのことが気になって仕方ありません。反目しあうシェーラとファリードというありえたかもしれない関係性を新キャラクターで実現させたのが面白い。満面の笑みのルビーとふくれっ面のサファイヤが対比された85ページと87ページのイラストなど、ぞっとするほどの迫力があります。
 新シリーズ開幕に当たって一番うれしかったことは、旧作からのキャラクターが全く変わっていないことです。シェーラなんか自分の子供よりも精神年齢が低いくらいです。それだけにファリードが痛ましい。おそらく世代交代のために旧シリーズの主力キャラはなんらかの手段で退場させられることになるのでしょうけど、こうまであからさまにきますか。