- 作者: 長谷川集平
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 1978/01
- メディア: 単行本
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とぼけんといてか、おとうちゃん。
ぼくは ほんまのことが ききたい。
そらで びゅわんびゅわん ゆう、あの音のことや。
あれは、かいじゅうにちがいない。そうやろ、おとうちゃん。
外でびゅわんびゅわん鳴り響く音をきいて、かいじゅうが暴れ回まわっているのではないかと妄想する少年の物語です。少年の妄想の中でかいじゅうは街を破壊しつくし、「かおるちゃん」を攫って去っていきます
草森伸一は「少年の鬱屈した凶暴にして性的な想像力が描かれている」と解説しています。少年の表情はまさにそうしたただならぬ迫力を感じさせます。
こんな少年を父親は「あほか、おまえは。あの音は ただの風の音じゃ。そんな しょうもないこと ごちゃごちゃゆわんと はよねえ!」と軽くいなします。なんとなくシューベルトの「魔王」を思い出してしまいました。