「やわらかい頭」(長新太)

やわらかい頭 (a‐tempo)

やわらかい頭 (a‐tempo)

 1992年刊。おじさんがいろんな怪物に出会ういつものタイプの漫画です。
 長新太ワールドでは山川草木が命を持つのは当たり前になっていますが、この本はさらにすごい。人造物であるスカートまでが命を持って動き回り、内臓も巨大化して暴れます。もはや長新太ワールドはアニミズムすら超越しています。巨大化したコーガンは巨大なウメボシとけんかをし、鼻はチェーンソーに変容する。おじさんは巨大化した脱腸に引っ張り回され、さらに肥大化した内臓達にもてあそばれます。そこで一首。
 内臓が 大きくなりて せまりくる わが身果つるは 明日あたりか
 コマを丸ごと真っ白にする手抜きギャグや、縦長のコマを使うといった漫画ならではの手法を試しているのもこの本の特徴です。