「なおみ」(谷川俊太郎/文 沢渡朔/写真)

なおみ (日本傑作絵本シリーズ)

なおみ (日本傑作絵本シリーズ)

なおみは いる
いつも
わたしの うまれる
ずっと まえから
なおみは いた
わたしのそばに

 1982年に月刊絵本「こどものとも」第310号として世に出て、今でもトラウマ絵本として評判の高い写真絵本「なおみ」。噂はかねがね聞いていましたが、今回「福音館傑作絵本シリーズ」として刊行され、やっと拝むことができました。そりゃ幼児に見せたら泣くはずです。
 谷川俊太郎の詩と沢渡朔の写真で紡がれる市松人形のなおみと少女の日常。変わらない変われない停滞した時間を生きるなおみの姿から感じられるのは、悠久の時間の重みと死臭です。