「やねの上のカールソンだいかつやく」(アストリッド・リンドグレーン)

やねの上のカールソンだいかつやく (リンドグレーン作品集)

やねの上のカールソンだいかつやく (リンドグレーン作品集)

 おなじみ「うつくしくて、じつにかしこくて、ぐあいよくふとっていて、ちょうどいい年」の「やねの上のカールソン」第三作です。
 リッレブルールの最近の悩みの種は、ある新聞記事でした。「空飛ぶ樽か、それともいったい何なんだ?」という見出しでストックホルム上空を飛んでいる未確認飛行物体について報告したもので、しかもこの物体を捕まえると一万クローナの報奨金を出すとまで書かれていました。もちろん「空飛ぶ樽」はカールソンのこと以外に考えられません。ちょうど家族は家を出ていて、家にいるのはリッレブルールとお手伝いさんのボックさん、気むずかしい親戚のユリウスおじさんだけ。カールソンはいつもの調子でまったく緊張感がなく、ピストルをばんばん打ちならして遊んでいます。カールソンを守れるのはリッレブルールしかいません。はたして報奨金の行方は……というお話。リンドグレーンなのでおもしろさは折り紙付きです。
 それにしてもなんでいまごろ邦訳が出るのかが理解できません。本国で出たのは1968年。岩波書店は今までなにを遊んでいたのでしょうか。