「なきわらい血液型事件」(那須正幹)

なきわらい血液型事件 (学研の新しい創作 A)

なきわらい血液型事件 (学研の新しい創作 A)

 タモちゃんは血液型占いに興じているクラスの女の子達に声をかけられました。自分がO型だと告げると、O型の性格について「明るくて活発で、小さいことにこだわらない、大ざっぱなところがある」と教えられます。タモちゃんは大いに納得しましたが、一部の女子は違うと言い張り、再度タモちゃんの血液型を確認します。タモちゃんは父さんがA型で母さんがB型、そして自分はO型だと教えました。すると女子は、血液型は遺伝するからA型とB型の両親からO型の子供は生まれないはずだと断定しました。家に帰ったタモちゃんは姉ちゃんにそのことを聞いてみました。すると姉ちゃんは、タモちゃんはクリスマスの夜に拾った子供なのだととんでもない秘密を教えてくれます。
 高校の生物の授業をまじめに聞いていればA型とB型の両親からO型の子供が生まれても全然おかしくないとわかりますが、小学生にそれは望めません。自分が捨て子だと思って深刻に悩むタモちゃんや、弟にあっさりウソを信じられてしまいどうなだめたものか困り果てている姉ちゃんの姿は非常に笑えます。
 血液型占いにしろ自分の出生にしろ、他人の言うことを鵜呑みにせずに自分で検証してみろ、冷静に考えればおかしいところがいくらでもあるぞと。リテラシーの重要さを訴える非常に教育的な作品です。