「とびだせズッコケ事件記者」(那須正幹)

 三人組が班で発行する壁新聞の記者として活躍する話です。
 モーちゃんは彼らしく市内にあるお菓子屋さん、メルシーと風月堂のどっちのお菓子がおいしいのか調査に乗り出し、いい目とちょっとひどい目を見ます。ハカセは三人組が巻き込まれた偽札事件をきっかけに偽札について調査をすることになります。ところがこれまた彼らしく、せっかく偽札事件という面白そうなネタがあるのに、そもそも偽札とは、通貨とはなんぞやということに興味を持ってしまい大論文を仕上げて没にされてしまいます。ハチベエハチベエで先生の恋愛ゴシップに首をつっこみます。こんな感じで三者三様の活躍を楽しめます。
 この作品の肝は三人がそれぞれの班で事件記者に任命された経緯です。ようするに、彼らが編集会議に参加すると会議が混乱することが目に見えているので、事件記者という体裁のいい役職を与えられて彼らは外に放り出されたのです。小学生といえど日々このような高度な政治的判断をして生きていることがよく観察されています。そこをふまえた上で、クラスの中心的人物でなくみそっかす扱いされ排除される側に活躍の場を与えているところがこのシリーズのよさです。