「一等はビキニの絵」(那須正幹)

一等はビキニの絵 (偕成社文庫)

一等はビキニの絵 (偕成社文庫)

 1973年刊。中国山地にある奥畑村を舞台とした物語です。時代はまだカラーテレビが珍しかったあたり、主人公はタクオ、カツジ、三郎というやはり小学生三人組です。盗んだニワトリを絞めて鳥鍋をつくったり、都会から遊びに来たでぶ少年を川に突き落としたり、のどかな活躍を見せます。一方で村に駅ができるという噂に端を発し、サル公園造成事業に子供たちが巻き込まれるなど、都会と田舎の問題をあぶり出している点も興味深いです。物語の真の主人公は奥畑村という土地そのものだといえましょう。