「子供のための教訓詩集」(ヒレア・ベロック)

子供のための教訓詩集

子供のための教訓詩集

顎をひらいたライオンが 飛びかかって、この子をむしゃむしゃ まずは足からね

 イギリスでルイス・キャロルエドワード・リアと並び称されるというナンセンス詩画集です。
 動物園で乳母から離れてしまったジムは頭だけを残してライオンに食べられてしまいます。糸をかむのが趣味のヘンリー・キングは体内で糸が絡まってしまい、重々しく「ああ、みんな、ぼくから教訓を学ぶんだ 朝、昼、晩のごはん、それにおやつだけが人間の体に必要だということを……」と遺言を残して逝ってしまいます。なんだ、教訓にかこつけて残酷な話が書きたいだけじゃないかと切り捨てるのは早計です。はげたかの間食や野牛の毛、蝮の毒など動物の生態に関する鋭い論考もあります。どの詩も形容しがたいおかしみがありました。
 イラストも間が抜けていておもしろいです。一番の特徴は男の子も女の子も動物もみんなおっさん顔なところでしょうか。