- 作者: 伊丹由宇,倣学
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2007/09/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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悪役の転校生が学ランに身を包んだ番長ルックで、しかも名前が闇太郎……。センスがぶっ飛びすぎています。かと思えば、人が死んだら体重が少し軽くなるから心には重さがあるとか、マイナスイオンがどうたらとかあやしげなネタを肯定的に語ったりするので、こっちはドン引きしてしまいます。これは冗談でやってるんですよね。冗談にしても全然おもしろくないですけど。
どうやら作者的には「日本の心」とやらが絶対善になっているようです。しかし登場人物の台詞の中で偉そうな講釈はあるものの、物語を通してそれが何を指すのか具体的に語られることはありませんでした。主人公側は勇気や友情や自己犠牲で勝利を収めますが、そういった美徳は別に日本の専売特許というわけではないでしょう。作者はなにをそんなに熱心に訴えたかったのか、最後までわかりませんでした。作者の中だけで自己完結してしまっていて、読者に読ませるという意識が希薄です。作者の主張がまったく整理されていないので、その妥当性を論ずることすらできません。とても商業出版のレベルに達しているとは思えません。