「ガッチャ!」(ジョーダン・ソーネンブリック)

ガッチャ!

ガッチャ!

 両親の離婚に不満を持つ16歳の少年アレックスが主人公。別れた父親の家に怒鳴り込もうと酒を飲んで車に乗ったまではよかったのですが、1ブロックも行かないうちに事故を起こして隣家の庭にあるこびと人形の首を吹っ飛ばしてしまい、警察のご厄介になります。物語のメインは恋愛で、アレックスは更正プログラムをこなしつつ、幼なじみの空手少女ローリーとの仲を進展させていきます。
 ローリーはきっと空手と一緒に日本人の奥ゆかしさも学んだのでしょう。彼女は傷心のアレックスに優しい言葉をかけてあげたいのに、恥ずかしくて心にもないことを言ってしまいます。

「あんたは能なしよ。変態。変態よりひどいわ……。変態見習いよ」

「あまりにもあわれで、殺す気にもなれないわ」

 ローリーは罵ったり蹴り飛ばしたりすることでしか愛情表現ができない子だったのです。作者が日本文化に精通していることはよくわかりました。もうツンデレアメリカにも浸透していたのですか。こう変態変態連呼されると水瀬伊織の罵声の幻聴が聞こえてきてしまいます。変態より変態見習いの方がひどいという理屈はよくわかりませんけど。