秘密のオルゴール-摩訶不思議ネコ・ムスビ 1- (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 池田美代子,尾谷おさむ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/11/16
- メディア: 新書
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と紹介するとかわいらしいお話のようにみえてしまいますが、そこはやはり池田美代子。ねこねこワールドは実は長生きした猫が行く黄泉の国で、露骨に危険なにおいが漂ってます。ここで天国というような表現を使わず「黄泉の国」といってしまうところが池田美代子らしいです。「秘密のオルゴール」というタイトルもファンシーなので油断させられてしまいますが、このオルゴールもまたユニークなオルゴールで、終盤の陰惨さには驚かされてしまいました。
デビュー作から一貫して他人との差違に悩む子供を描いてきた池田美代子ですが、ここでもやはり異能を持つために集団からはじかれる子供が登場します。ただし「ナビ・ルナ」と明確に違っている点もあります。それは異能者が複数になっていることです。「妖界ナビ・ルナ」の竜堂ルナは異能を持っているために第一巻で日常を捨てなければならなくなりました。しかし新シリーズでは人間の中で主人公が完全に孤独に陥ることはなく、とりあえずしばらくは日常に踏みとどまっていけそうな具合になっています。「ナビ・ルナ2」では現在みんな違うことがデフォルトである妖怪の世界に舞台を移すことによって、差違の問題を一時棚上げにする形になっています。新シリーズではまた違った展開をみせてくれそうです。