「幻狼神異記1 魔物の棲む少年」(横山充男)

幻狼神異記〈1〉魔物の棲む少年 (teens’ best selection)

幻狼神異記〈1〉魔物の棲む少年 (teens’ best selection)

 横山充男の新シリーズです。主人公は怒りが爆発すると魔物の力を発動させてしまうイヤボーン少年健(タケル)。この力のために学校を追われ、學璽院中学に転校するところから物語ははじまります。転校してすぐ、健は校長の甥で古代史研究会の部長をしている敷島一輝という生徒がに目を付けられてしまいます。敷島一輝は清明会という秘密組織も仕切っており、裏で不良を叩きのめしたりしていました。一輝の陰謀で健は、深夜にやくざを成敗するのが趣味の「闇討ち男」神流統治と決闘させられることになります。
 清明会は、メンバー波田みつきの説明によるとこんな具合の組織です。

「わたしたちは、敷島くんをヘッドにして、この国をよくするための会をつくっているの。清明会っていうわ。中学生を中心にしたNPOってところね。まずは首都東京から、中学生をまとめていこうと考えている。都内の私立中学は百八十一校。生徒数八万十五人。そのうち男女共学が六十四校。これは、ほぼまとめたわ。あとは男子校が三十七校。これもあと一年のうちには、まとめられるはず。」(p231)

 能書きは立派ですが、発想はヤンキーちっくです。健や一輝をはじめ超能力を持った人物がたくさん登場するようで、学園異能のような趣の作品になりそうです。オカルト蘊蓄と誇大妄想的なまでの風呂敷の広げ方は横山充男らしいです。ぜひ現時点での代表作「水の精霊」を超える熱いシリーズに育ってもらいたいです。