ビートルズ・サマー -レイの青春事件簿2- (YA! ENTERTAINMENT)
- 作者: 松原秀行,梶山直美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
たしか第一巻の感想はベタ褒めしていたはずなのですが、今回はひどすぎて弁護のしようがありません。まず、取り上げられているアーティストの劣化がひどすぎる。前回はヘンリー・ダーガーがキーになっていたのに、今回はビートルズというのはどういうことですか。現ア研のメンバーのような高踏趣味の若者は、マイナーなものを愛してこそ自らの存在意義を感じるものです。ビートルズみたいな誰でも知っているアーティストに入れ込むなど、彼らにとっては堕落でしかないはずです。
救いようがないのは肝心のミステリ部分です。最後の逆転のための偶然があまりにも出来過ぎています。読者はバカなもので、小説なんて全部作り事であることは重々承知の上で騙してもらいたいと思っているものです。だからこそここまで出来過ぎた偶然を導入されることで、謎も解決も作者が都合のいいようにでっちあげているだけだということを目の当たりにしてしまうと、ひどく落胆してしまいます。読者を騙せるだけの最低限のリアリティは確保してもらいたいものです。
とりあえずシリーズを貫く事件の風呂敷は着々と広げているようなので、ぜひ三巻で持ち直してもらいたいです。