アート少女―根岸節子とゆかいな仲間たち (TEENS’ ENTERTAINMENT)
- 作者: 花形みつる
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 単行本
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学力テストにおびえて生徒をいじめる校長を悪役とする物語ですから、社会風刺はよく効いています。こうした現状が寛政の改革に喩えられているところがおもしろいです。確かにいろんなところで締め付けの厳しくなっている現代はあの時代に近いかもしれません。花形みつるの時代を見る目の確かさが感じられます。
でもそうした社会風刺的な面は、この作品を楽しむ上で最重要なポイントではないような気もします。ではなにが一番重要かというと、個性的すぎて浮いている子供たちが好きなことに打ち込んでいる姿を生き生きと楽しそうに描いていることだと思います。一人一人が勝手なことをしながら、結果的にまとまってひとつの事を成し遂げる。そうした中学校生活のあり方は、美術部顧問のモジリアニの言葉を借りれば「突き抜けていて、バカバカしくて……、なんというか、崇高」です。