「ジャン・ブラスカの日記」(ヴァンパ)

ジャン・ブラスカの日記 (平凡社ライブラリー)

ジャン・ブラスカの日記 (平凡社ライブラリー)

 イタリアの児童向け週刊新聞「日曜新聞」に1907年から1908年にかけて連載されていた作品。台風のような悪ガキの繰り広げるいたずらの数々が、日記形式で語られます。
 訳者あとがきによると、この作品はイタリアでは「クオーレ」や「ピノッキオの冒険」と並ぶ児童文学の古典と見なされているそうです。しかし「クオーレ」や「ピノッキオの冒険」のような良識的な児童文学と「ジャン・ブラスカの日記」の間には大きな壁があります。なにしろジャン・ブラスカの所業は、とてもいたずらという軽い言葉では済ませられないような暴力的で過激なものばかりなのですから。
 一例を挙げると、大口をあけて居眠りをしているおじさんの口の中に釣り糸を垂らして釣りごっこをし、釣り針で歯を数本抜き取って流血沙汰を起こしたというものがあります。
 こんな物騒な話が20世紀初頭に児童文学として受け入れられていたとは、当時のイタリアの文化の成熟度に驚かされました。