- 作者: 河合二湖
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/11
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
いかにも講談社児童文学新人賞という感じの作品で、人間関係の難しさや、思春期の痛々しい心情の描写はうまいです。
どきっとするような印象的な言葉がいくつかありました。ひとつは、明音が自分と相性が合うと思い込んでいた祖父に拒絶される場面の、「わたしたちは、お互いにとって、大事な大事な……お客さんだ。」という一文。人間関係のままならなさに対する絶望を実に簡潔に残酷に言い表しています。
もうひとつ印象に残ったのは、派手グループと決別し元の鞘に収まろうとする時に、派手グループから「あんな下流の人のところへ行くんだ」と言われた時の「下流って、どっちのこと?わたし、方向オンチでよくわかんないや」という台詞です。このふてぶてしさには感服させられました。