「花の道は嵐の道」(天野頌子)

花の道は嵐の道―タマの猫又相談所 (TEENS’ ENTERTAINMENT)

花の道は嵐の道―タマの猫又相談所 (TEENS’ ENTERTAINMENT)

佐世保の高校の華道部が舞台の文化部小説。この学校は元お嬢様学校で、華道部や茶道部箏曲部や書道部など和室を使う部活が高いステータスを持っていました。しかし茶道部が台頭してきたために他の部活は追いやられ、華道部も貧乏生活にあえいでいました。そんな華道部にいやいや入部することになった新入生の理生の苦難の日々が語られます。
華道部の貧乏っぷりが愉快です。部費がないから練習には造花を使い、本物の花材も買えないのでそこらへんから調達してくる。つつましくたくましくドタバタな部活ライフはとても楽しそうです。
しかしこの作品の一番の見所は猫です。語り手は理生が飼っている猫又のタマで、ふたりの関係はドラえもんのび太そのもの。タマはぶつくさ言いながらも理生の面倒を見てしまい、様々な災難に巻き込まれることになってしまいます。タマがラストで見せる醜態は必見です。猫好きの人には強くおすすめします。