「緑魔の町」(筒井康隆)

緑魔の町 (角川つばさ文庫)

緑魔の町 (角川つばさ文庫)

時をかける少女」に続いて「緑魔の町」が角川つばさ文庫になりました。福音館書店の「ボクラノSF」の「秒読み」を含めると、今年は児童書レーベルから筒井作品が三冊出たことになります。さらに小松左京作品も児童書扱いで二冊出ました。ここしばらく児童書棚にスタンダードなSFが星新一作品しか置かれていなかった状況を考えると、今年はSFがわりとがんばっていたとみていいと思います。どうも講談社はもう青い鳥文庫の「fシリーズ」に力を入れていないようなので、これからは角川つばさ文庫福音館書店に児童書SFを盛り上げていってもらいたいと期待しています。
「緑魔の町」は侵略テーマのSFです。住民がみんな宇宙人に乗り移られてしまった町で、一人取り残された武夫少年が逃げ惑う話です。この作品については、とにかく「怖い」しか言うことがありません。
イラストは白身魚。ひらがな四文字のタイトルのアニメやひらがな四文字のタイトルのアニメで有名なアニメーターの別名ではないかと噂されている人です(絵を見れば一目瞭然なんですが)。せっかく今をときめく絵師を起用しておいて野郎メインの話なんてもったいないと思っていたら、女子高生三人組が主人公の「デラックス狂詩曲」も入っていました。さすが角川はわかっています。