「算数宇宙の冒険」(川端裕人)

算数宇宙の冒険

算数宇宙の冒険

リーマン予想を小説化した奇書です。イーガンにルイス・キャロルをまぶして、さらにライトノベル風のキャラクター配置で味付けをしたといったところでしょうか。あらすじをわかりやすく説明するのは不可能なので、箇条書きで書いてみます。

    • 神社の絵馬に数学の問題が書いてある
    • 物語の大枠は、小学生四人組が「算数宇宙杯」という数学バトルに挑むというもの
    • 「算数宇宙杯」は名前は大げさだが、実はご町内レベルの行事
    • のはずだったけど、いつの間にか異世界人との戦いに巻き込まれる
    • 異世界人の攻撃によって素数が破壊されていく
    • 三月ウサギならぬ三角ウサギとマッドティーパーティ
    • ふりたまー

うん、これじゃ全然わからないよね。
パラパラめくってみると、文章が横書きで数式がたくさん出てきて難しそうな印象が持たれますが、別に気後れする必要はありません。数学の用語ってかっこいいよねというレベルで読んでいけば、気の利いた小学生なら充分楽しむことができるはずです。ゼータ関数とか解析接続って字面がなんとなく強そうじゃないですか。んで、少年漫画的な刹那的なかっこよさの積み重ねを楽しみながら読み進んでいくと、いつの間にか観念の宇宙に投げ出されて絶望的な孤独感や浮遊感を味わえるという寸法になっています。