「黒魔女さんのクリスマス 黒魔女さんが通る!! PART10」(石崎洋司)

昨年11月から読み始めた「黒魔女さんが通る!!」シリーズですが、ようやく10巻までいきました。このシリーズは読めば読むほど面白くなっていきます。特にチョコが魔界巡りをするこの第10巻は、いつもにまして展開がフリーダムで楽しい作品になっていました。
10冊読んでようやく気づいたことがひとつあります。自由すぎる展開、展開の自由さの割には道徳的なところ、際限なく増殖するキャラクター、奔放な言葉遊び、唐突なミュージカル化、青い鳥文庫には「黒魔女さん」の持つこれらの特徴にそっくりな作品がありました。それは「クレヨン王国」です。「黒魔女さん」こそ青い鳥文庫における「クレヨン王国」の正統な後継者なのではないでしょうか。
男性でありながら男子向けの作品をほとんど書かず、女子向けの作品ばかり書いていることも、「黒魔女さん」の石崎洋司と「クレヨン王国」の福永令三の共通点です。こういう児童文学作家はあまりいないので、男性作家が女子向けの作品を書くことにどういう意味があるのかについては考察してみる価値がありそうです。単に女子向けの方が市場が大きいからという現実的な事情も考えられますけど。