「小説 海のシルクロード」(庄野英二)

1985年の作品ですが、前衛的すぎてわたしにはよくわかりませんでした。
インドネシアあたりの火山島が爆発したのち、ボホンという漁師が高さ10メートルもの長方形の巨石を発見。その巨石はボホン石と名付けられ、碑文を解読すると鄭和の顕彰碑であったというホラ話から作品は始まります。手の込んだことにボホンというのは現地の言葉で「ホラ」の意味であるという設定まで仕込んでいます。
その後、鄭和の冒険譚を元にしたと思われるホラ話が語られるようなのですが、その語り方が自由すぎてとらえどころがありません。中盤になんの説明もなく西遊記のストーリーを語り出したあたりでわたしの頭は完全に混乱して、ついていけなくなってしましました。
鄭和の伝記を語ったかと思えば、世界各地の神話を語り出したり、話は自由にあっちへ飛び、こっちへ飛びしてしまいます。
この自由すぎる語り方は、おそらく空間と時間を超えてなにかを繋ごうという試みなのではないかということは、おぼろげに予想できます。が、それが成功しているのかどうかはわたしの力では判断することはできません。お手上げです。