- 作者: 斉藤洋,高畠純
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2010/02/14
- メディア: 単行本
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他の巻でもそうですが、斉藤洋の歴史上の人物に付けられた幻想を剥ぎ取ろうとする姿勢が顕著に見えます。宮本武蔵などは特に重要でない役で登場し、あっさり白狐魔丸の術でやられてしまいます。天草四郎に対しても斉藤洋は、外見を「饅頭顔」であると評し、美少年であるという幻想に抵抗します。
そして、天草四郎の内面も、自分が神の子であると思い上がった狂信者として描いています。彼は雅姫様の怒りを買ってしまったために悲惨な最期を遂げることになります。
白狐魔丸はなるべく犠牲者を減らそうとこっそり城から人々を逃がすのですが、逃げ出すのは成り行きで参加した人とか最初からそんなに神を信じていない人ばかりで、ある意味真剣な人が救われないのが皮肉です。狂信者はいかんともしがたいというのが結論なのでしょうか。