「怪盗レッド 2代目怪盗、デビューするの巻」(秋木真)

怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻 (角川つばさ文庫)

怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻 (角川つばさ文庫)

2007年に「ゴールライン」でデビューした秋木真の第二作、中学生怪盗を主人公とした冒険活劇です。
中学校への入学を目前にした春休み、アスカといことのケイは親から無茶な指令を与えられます。なんでも、自分たちはねずみ小僧の末裔で、これから義賊として働けと。そういうわけで、武闘派の少女アスカと頭脳派の少年ケイの、「怪盗レッド」としての活動が始まりました。
中学生に怪盗をやれという無茶を、実はすでに怪盗としての訓練はなされていたという無茶で塗り固めることで、奇妙な説得力を持たせているのがうまいです。序盤は性格の合わない二人が同居してチームワークを高めていく展開で、スポーツもののようなノリで安心して読み進めていけます。
出色なのが終盤のアクションシーンです。コスチュームからわかるように、怪盗レッドのイメージは忍者です。それゆえ、腕力だけで押し切るようなことはしません。ひとつひとつの動きが意味を持っていて合理的で、それが積み重なって効果をあげる流れがおもしろいです。スピード感があるのに密度が濃い描写は、非常に洗練されています。
このままのテンションを保って刊行ペースが安定すれば、つばさ文庫の看板になりうる可能性を持ったシリーズだと思います。